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FAX NEWS


FAX NEWS No.24


発行責任者:谷 大二
2005年8月23日(水)発行

「『人身売買』という形での売春は、新しい形の奴隷制度である」


バチカン移住・移動者司牧評議会主催「路上の女性たちの解放のための第一回国際司牧会議」(2005年6月20-21日報告:国際修道女長上会議代表 Sr.エウジェニア・ボネッティの話-

 「売春」は世界でも最も古い職業と言われているためか、社会一般から遠く隠されてしまう事ことが多い。しかし実際は、陰の世界において、暗く、古い職業として定着している。また、「人身取引」という形での「売春」は、新しい形の奴隷制度である。(中略)‘96年ぐらいから、私の属する国際修道女長上会議は、イタリア政府と協力して、彼女(人身取引被害者)たちの保護、更正、また被害者を生み出さないための予防へ向けた活動を行っている。イタリアではこの15年間に、西アフリカ、ラテンアメリカ、東欧から、7万人もの外国人被害者が入国していると言われている。それは地理的な要因もあるが、私たちは、250名のシスターと共に、110のプロジェクトを作り、被害女性たちに向けた支援を行っている。


 上述報告にある「人身取引」は、残念なことに世界の至る所で起きています。その総数は何百万人とも言われ、それは日本においても例外ではありません。2005年7月14日、日本の警察庁生活環境課発表の「平成17年度(2005年度)上半期における人身取引事犯について」によると、今年上半期で保護された外国人の人身取引被害者総数は51人(男性含)、また2001年からの被害者総数は331名となっています。一見この数値は、報告されたイタリアの例を見ても極めて少ないようにも見えますが、全体の被害状況、実数について殆ど明らかにされていない日本では、この数字がどれほど真実を伝えているか、疑問の声もあります。

 2000年に国連で採択され、2002年日本も批准した、「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書(略称)」では、「『人身取引』とは、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫若しくはその行為、誘拐、詐欺、欺(ギ)もう、権力の濫用若しくはぜい弱な立場に乗ずること又は他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭若しくは利益の授受の手段を用いて、人を獲得し、輸送し、引き渡し、蔵匿し、又は収受することをいう。(略)」とあります。

 しかし、02年議定書の批准後、実際日本国内法で「人身取引」の定義が設けられ、また「人身取引」そのものが犯罪とされたのは、今162回国会で成立した「刑法の一部を改正する法律(平成17年度6月22日法律第66号)の出入国管理及び難民認定法関係部分」においてが初めてです。それまでは、被害者である可能性が高い人でも、その調査や保護は行われず、単に「*入管法違反者」として警察や入国管理局に捕らえられ、自分の祖国に強制的に送り返されるケースが殆どでした。そのため被害者たちが入国管理局や警察に助けを求めることもなく、また、人身取引の加害者として検挙される、ブローカーや経営者らの実態・実数も極めて不透明であるばかりか、法律の不備によって、彼ら加害者が再入国する可能性を断ち切る、つまり再発の防止にも有効な手段はありませんでした。

 人身取引の被害者の多くは、主に「日本で良い働き口がある」などと騙されて、ブローカーとともに日本に入国します。その後各地の風俗店経営者などに売られ、パスポートを取上げられたあげく、渡航代や日本での生活費などと言われ多額(300〜600万円との報告もあります)の借金を負わされます。実際、被害者たちにこの借金への返済義務はありませんが、その謝金の返済という名目で、彼女たちは強制的に「売春」をさせられます。その中には未成年の人も存在していて、逃げようとしたり、反抗的な態度を取ったりすると、店のオーナーなどから、肉体的・精神的な虐待が加えられることも多くあります。また、運良く逃げ延びたとしても、HIV/AIDSをはじめとする感染症によって、命の危険や社会的偏見にさらされることも多く、祖国に戻ったものの再びブローカーに売られ、同じような被害を何度も受ける人もいます。

 グローバル化に伴う社会のゆがみが生み出した「人身取引」の拡大は、正に現代社会の「奴隷制度」であり、被害者たちは、毎日この瞬間に基本的人権や尊厳を奪われています。


 注*入管法違反:被害者たちの入国は、正規の「観光ビザ」や、「興行ビザ」の場合もありますが、偽造の旅券で入国する場合もあります。その手法はブローカーによって異なりますが、どちらにしても特定の支配者の管理下に有る被害者たちは、本人の意志とは無関係に、「不法残留」あるいは「不法入国」の状態に陥ります。そのため結果的に「入管法違反者」となり、警察や入管に捕まれば、「国外退去強制(強制送還)」の対象となりました。


05年「入国管理及び難民認定法」改正 


-05年7月12日施行「人身取引」に関するポイント

1.人身取引定義規定の新設  

入管法定義規定(第2条第7号)人身取引等、次に掲げる行為をいう。

イ.営利、わいせつ又は声明若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、誘拐し、若しくは売買し、又は略取され、誘拐され、若しくは売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、若しくは蔵匿すること。

ロ.イに掲げるもののほか、営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で十八歳未満の者を自己の支配下に置くこと。

ハ.イに掲げるもののほか、十八歳未満のものが営利、わいせつ若しくは生命若しくは身体に対する加害の目的を有する者の支配下に置かれ、又はその恐れがあることを知りながら、当該十八歳未満の者を引き渡すこと。


2.人身取引等の被害者に関する上陸拒否事由及び退去強制事由の改正

●上陸拒否事由に関して、売春等の業務に従事したものから「人身取引等により人の支配下に置かれていた者」を除外

●退去強制事由に関して、もっぱら資格外活動を行っていたことを明らかに認められる者及び売春等の業務に従事した者から「人身取引等により他人の支配下に置かれている者」を除外


3.人身取引等の被害者に関する上陸特別許可事由及び在留特別許可事由の改正

●上陸申請段階において、現に人身取引等の被害に遭っている者からの保護要求に対処するため、「人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入った者であるとき」には、上陸特別許可をすることができ

● 人身取引等により他人の支配下に置かれたために不法滞在状態に陥った者などについても我が国に滞在できるようにするため、「人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するもの」には、在留特別許可をすることができる


4.人身取引等の加害者に関する上陸拒否事由及び退去強制事由の新設

我が国と関係なく外国において人身取引等を行った者や、人身取引等を行ったが、それにより一定の刑事処罰を受けなかったものなどについても、上陸を拒否したり、本邦から退去強制したりすることができる。

ほそく

 上述の項目新設により、人身取引被害者の認定・保護などを、迅速に行うことができ、また加害者が将来日本において人身取引に関与することを未然に防止すること、或は同じ加害者によって被害が再発することを防ぐことも可能になると言われています。しかし、被害の状況は多様・複雑であることを踏まえて、被害者保護の観点から、より具体的かつ包括的な支援策を明確に打出す必要も残っています。


 国内外の民間シェルターやNGOとの連携、精神的に多大な苦痛を負った被害者への精神的ケアに関する専門家の育成、被害者個人のプライバシー保護、関係機関(警察や入管)への徹底した教育などは、引き続き検討・改善を繰り返すべき課題であることは間違いありません。


教会は女性の尊厳を強調し、人身取引がいかに女性の尊厳を損なっているかを皆に知らせ、人権の価値の段階から、その尊厳の最も尊い価値を皆に知らせるべきである。彼女らに対して、尊敬、理解、同情そして裁くのではなく、一緒に苦しみ困難を乗り越える姿勢を示すべきである。(バチカン移住・移動者司牧評議会「路上の女性たちの解放のための第一回国際司牧会議」-2005年6月20、21日[結論]より抜粋)


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