日本語トップページへ  
Japanese
jpn
English
eng
Espanol
esp
Portuguese
pt
Vietnamese
vi
Korean
kor
前画面に戻る

世界難民移住移動者の日


世界難民移住移動者の日とは? 9月第4日曜日


「世界難民移住移動者の日」は、日本では9月第4日曜日に定められています。1970年、時の教皇パウロ6世が、教皇庁移住・移動者司牧評議会を設立したことを受け、「各小教区とカトリック施設が、国籍を超えた神の国を求めて、真の信仰共同体を築き、全世界の人々と『共に生きる』決意を新たにする日」として設立されました。


「世界難民移住移動者の日」では、おもに滞日・在日外国人、海外からの移住労働者、定住・条約難民、外国人船員や国際交通機関の乗組員とその家族のために「祈り・司牧的協力・献金」がささげられ、それらは日本カトリック難民移住移動者委員会を通じて、幅広く支援に役立てられています。


2011年度 世界難民移住移動者の日 9月25日(日)


テーマ : さしだされる手 にぎりかえす手 だれとでも
 




2011年度ポスター


2011年度 教皇メッセージ       過去の教皇メッセージはこちらから


第97回「世界難民移住移動者の日」教皇メッセージ 「一つの人類家族」


 親愛なる兄弟姉妹の皆様

 世界難民移住移動者の日は、拡大しつつある移住現象にかかわるテーマについて熟考する機会を全教会にもたらすとともに、キリスト者としてのもてなしにむけて、また、正義と愛に満ちた世界の構築にむけて心を開くよう祈る機会も与えてくれます。正義と愛は、真正で永続的な平和を築くために欠かせない柱なのです。「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13・34)とは、わたしたちに力強く語られ、わたしたちをたえず新しくする主の招きです。御父が最愛の御子のうちに愛される子どもとなるよう招いているということは、キリストにおいて互いを兄弟姉妹として認め合うよう招いているということでもあります。

 この全人類の間の深いきずなが、今年の考察のテーマとした「一つの人類家族」の原点です。それは、これまで以上に多民族と諸文化が共生し、さまざまな宗教の人々が対話に参加するよう促される社会の中にある、兄弟姉妹という一つの家族です。こうして、しかるべき相違点を尊重した平穏で実り豊かな共存関係が実現するのです。第二バチカン公会議は次のように断言しています。「神は全人類を地上の至るところに住まわせられたので(使徒言行録17・26参照)、すべての民族は一つの共同体をなし、唯一の起源を有する。また、すべての民族は唯一の終極目的をもっており、それは神なのである」(第二バチカン公会議『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言』1、教皇ベネディクト十六世「2008年『世界平和の日』メッセージ」1)。「神の摂理といつくしみのあかし、さらに救いのはからいは、すべての人に及ぶ」(第二バチカン公会議『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言』1)。したがって、「わたしたちは偶然、人々とともに生きているのではありません。わたしたちは皆、人間として、それゆえ兄弟姉妹として、共通の道を歩んでいます」(教皇ベネディクト十六世「2008年『世界平和の日』メッセージ」6)。

 生きるという道は同じでも、わたしたちがたどる道のりの状況は異なります。多くの人が国内または国外、永続的あるいは季節的、経済的あるいは政治的、自発的あるいは強制的といったさまざまな形で、移住という苦しい経験に直面しなければなりません。人々はそれぞれの場面で異なる形の迫害を受け、脱出する必要に迫られ、祖国を去ります。さらに、現代の特徴であるグローバリゼーションという現象は、社会的、経済的なプロセスであるばかりでなく、地理的、文化的な境界を越えて「人類自身がますますかかわり合うようになる」ことも意味します。このことに関して、教会は次のことを思い起こさずにはいられません。このきわめて重要なプロセスの深い意味とその根本的な倫理基準は、人類家族の一致と、よいものにむけた人類の発展によってもたらされます(教皇ベネディクト十六世回勅『真理に根ざした愛』42参照)。したがって、教会の社会教説が説いているように、移住者も、彼らを受け入れる地元の住民も、だれもが一つの家族の一員であり、だれもが普遍的な目的を持つ地上の富を享受する同じ権利を有します。そこに、連帯と分かち合いが生まれるのです。

 「ますますグローバル化する社会において、共通善とその達成のための努力は、地上の国が一致と平和の中で形成され、分裂のない神の国のある程度の実現と先取りとなるよう、人類家族全体、すなわち、諸民族、諸国民から成る共同体の全体に及ぶものでなければなりません」(教皇ベネディクト十六世回勅『真理に根ざした愛』7)。これは、移住という現実に対する視点でもあります。かつて、神のしもべ教皇パウロ六世が指摘したように、「個人どうし民族どうしの兄弟愛の欠如」(教皇パウロ六世回勅『ポプロールム・プログレシオ』66)は実に、低開発の根底にある要因です。それは移住現象に大きな影響を及ぼしているともいえるでしょう。人間の兄弟愛とは、一つになるつながりを、つまり自分とは異なる他者との深い結びつきを、ときに驚嘆するほどに体験することです。 このことは、人間であるという単純な事実に基づいています。責任をもって兄弟愛のうちに生きるとき、兄弟愛は交わりの生活をはぐくみ、すべての人、とくに移住者との分かち合いを促します。兄弟愛は、他者の善のため、地域、国家、世界中の政治共同体のすべての人の善のために、自らを他者に与える力となっているのです。

  2001年の世界難民移住移動者の日にあたり、敬愛すべきヨハネ・パウロ二世は、次のように強調しました。「普遍的共通善は、諸民族から成る人類家族全体を、あらゆる国家的エゴイズムを超えたところで包み込むものです。このような文脈の中に、移住の権利があるのです。教会は、あらゆる人に、自分の国から出る可能性と、よりよい生活条件を求めて他の国に入る可能性の両面があることを認めています」(教皇ヨハネ・パウロ二世「2001年『世界難民移住移動者の日』メッセージ」3。教皇ヨハネ二十三世回勅『マーテル・エト・マジストラ』30、教皇パウロ六世使徒的書簡『オクトジェジマ・アドヴェニエンス』17参照)。それと同時に、国家は、人間一人ひとりの尊厳への尊重をつねに保障し、移住動向を管理し、自国の国境を守る権利を有します。さらに、移住者には、受け入れ国の法律と国民性を尊重して、その国になじむ義務があります。「その課題は、すべての人、とくに貧しい人たちを迎え入れることと、元から住んでいる人と後から加わった人がともに尊厳ある平和な生活を送るために必要なことの評価を結びつけることにあります」(教皇ヨハネ・パウロ二世「2001年『世界平和の日』メッセージ」13)。

  このような文脈において、他のあらゆる民族の中で歴史を旅する神の民としての教会の存在は、信頼と希望の源です。実に教会は「キリストにおけるいわば秘跡、すなわち神との親密な交わりと全人類一致のしるしであり道具」(第二バチカン公会議『教会憲章』1)です。また、聖霊によって行われる教会内の活動における「全人類の兄弟的集まりを確立する努力は、むなしいものではない」(第二バチカン公会議『現代世界憲章』38)のです。まさに聖体が、教会の中心において全人類の交わりの尽きることのない源となっています。それゆえ、神の民は「あらゆる国民、種族、民族、言葉の違う民」(黙示録7・9)を、教会の権力などではなく、愛の崇高な奉仕によって包み込むのです。事実、愛の実践、とりわけもっとも貧しく弱い人々のためになされる愛の実践は、感謝の祭儀が真正なものであるかどうかを判断するための基準です(教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡『主よ、一緒にお泊まりください』28参照)。

 難民とその他の強制移民は、移民現象の重大な部分を占めています。彼らの状況は、とりわけ「一つの人類家族」という主題に照らして考察されるべきです。暴力と迫害から逃れてきたこれらの人々のために、国際共同体は確かな取り組みをしてきました。彼らの権利を尊重し、安全性と社会的融合に適正な配慮を向けることにより、安定し調和のとれた共存が促されるのです。

 さらに、移住を余儀なくされた人々との連帯も愛の「積み重ね」によって養われます。愛は、わたしたちが自らを一つの人類家族と考えること、そしてキリスト者が自らをキリストの神秘体の構成員と考えることによって生まれます。事実、わたしたちは互いに支え合っています。わたしたちは皆、人間として兄弟姉妹に責任があり、信仰において信者に責任があります。以前、わたしが申し上げた通りです。「難民を受け入れ、手厚くもてなすことは、すべての人が人間としてなすべき連帯の行為です。それは、難民が不寛容や無関心によって疎外感を感じることがないようにするためです」(教皇ベネディクト十六世「一般謁見演説(2007年6月20日)」Insegnamenti II, 1 [2007], 1158)。このことは、自らの故郷や祖国を追われた人が、平和と安全のうちに生活する場所、そして彼らが働き、受け入れ国で権利を行使し、義務を果たす場所を見いだすよう助けられ、生活における宗教的側面を忘れることなく共通善に貢献することを意味します。

  最後に、留学生への特別な思いを、再び祈りのうちに述べたいと思います。広大な移住現象の中で、彼らの存在も大きくなりつつあります。未来の指導者として彼らが祖国に帰国することを考えると、この現象も社会的に重要です。彼らは母国と受け入れ国の間の文化と経済の「架け橋」となります。こうしたすべてのことが、まさに「一つの人類家族」を築く方向へ向かっています。ですから、留学生のための取り組みを支援し、彼らの現実的な問題、すなわち経済的困難、社会や大学においてまったく異質な環境に直面する中で孤独を感じる苦難、さらに打ち解けることの困難さにも注意を向けなければなりません。このことに関して、わたしは次の言葉を思い起こしたいと思います。「大学という共同体に属することは、……現代世界を形成してきた文化の岐路に立つことです」(教皇ヨハネ・パウロ二世「教皇庁定期訪問中のシカゴ、インディアナポリス、ミルウォーキー教会管区のアメリカ司教団への演説(1998年5月30日)」6:Insegnamenti XXI, 1 [1998], 1116)。学校と大学で新世代の文化は形成されます。多様性を持ちながらも一つとなるよう求められる家族として人類を理解する能力が育つかどうかは、これらの機関にかかっているのです。

 兄弟姉妹の皆様、移住者の世界は広大かつ多様です。そこには、素晴らしく希望に満ちた体験があると同時に、残念ながら、悲劇的で人間にも市民社会にもふさわしくない多くのことがらがあります。教会にとって、こうした現実は現代を如実に表すしるしです。それは、一つの家族を形成するという人類の使命にさらに光をあてると同時に、人類を結びつけるかわりに分断し、分裂させる問題点も際立たせます。希望を失わず、すべての人の父である神にともに祈りましょう。民族、文化間の理解と互いに尊重し合う心を深めるために、わたしたち一人ひとりが自ら、社会、政治、組織的なレベルで兄弟としてつながることのできる人となるのを助けてくださいますように。これらの希望とともに、海の星である聖母マリアの取り次ぎを願いつつ、すべての人、とりわけ移住者、難民、そしてこの重要な分野で働くすべての人に、わたしは心から使徒的祝福を送ります。


カステル・ガンドルフォにて 2010年9月27日
教皇 ベネディクト16世



翻訳:日本カトリック難民移住移動者委員会




2011年度 委員会メッセージ    過去の委員会メッセージはこちらから



誰も存在しない人にしてはいけない、「一つの人類家族」だから
  さしだされる手 にぎりかえす手 だれとでも


 今年も「世界難民移住移動者の日」を迎えます。教皇ベネディクト16世は、今年のメッセージのタイトルを「一つの人類家族」としました。世界には異なる文化、さまざまな宗教を持つ人々がいますが、すべての人が、神という人間としての同じ起源と唯一の終局目的を持つ家族として共生していく道を歩むよう呼びかけています。 私たちはこの日を毎年の記念日として思い出しますが、暴力と迫害から逃れてきた難民や強制移民となった人々にとっては、今日をどのように生き延びるかという毎日であることを忘れてはならないでしょう。

  2009年の統計(※1)では、世界でおよそ4,330万人の人が強制移動を余儀なくされ、また自主的に帰還した難民は、ここ20年で最も低い水準にとどまっています。傾向としては、難民の数はほぼ横ばいですが、国内難民はここ数年、飛躍的に多くなってきています。無国籍者は60か国で660万人、しかし推計では1,200万人いるとされています。実は日本でもその数は大変多く、出生届けがどこにも提出されず、法的に「存在しない」子どもたちは、約2万人もいます。それでは、実際には日本にどのくらいの無国籍の人たちがいるのでしょうか。もし日本政府が本当に無国籍者を減らそうと思うなら、法的な配慮をするだけで解決するケースは多くあります。にもかかわらず、こうした人々が同じ状態に置かれ続けているのは、政府の不作為だけでなく、私たちの無関心にも起因しています。教皇のメッセージにあるように、まず私たちの身近に住んでいる難民認定されない絶望的な状況に置かれている人たち、無国籍の状態にいる人たちが私たちの大切な「家族」であることに思いを馳せ、関心を持つことです。その上で何ができるのかを具体的に考えなければ、「世界難民移住移動者の日」は単なる毎年の記念日として通り過ぎるだけです。

 来年7月に「改定入管法」(※2)が実施されます。一つの例ですが、これまでは、たとえビザが切れ、超過滞在の状態になった外国人も、役所で外国人登録をし、行政サポートを受ける対象でしたが、これからは法務省入国管理局による集中管理になることから、それができなくなり、彼らは「存在しない人」となってしまいます。人権を認めないどころか、「存在しない人」を増やしていく法律となっています。改定入管法については、解説の冊子がありますので手に取り、私たちの国は何を実施しようとしているかをしっかり学んで下さい。

 日本で生活している難民・移住者・移動者たちを、「存在しない人」ではなく、私たちの大切な家族として意識の中に、そしてこの社会の中にしっかり位置づける努力をしていきましょう。さしだされた手をにぎりかえし、誰もが「一つの人類家族」としてつながる社会を目指していきましょう。


(※1)2009年統計の出典
国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)のホームページを参考としました。「数字で見る難民情勢(2009年)」は、 「Global Trends2009」の統計に 基づいています。
http://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/statistics/index.html

(※2)改定入管法
「入管法」とは、「出入国管理及び難民認定法」です。2009年7月、日本政府は、外国人登録法を廃止し、新たな在留管理制度と外国籍住民の台帳制度に再編する入管法・入管特例法・住民基本台帳法の改定法が成立しました。

2011年9月25日              
日本カトリック難民移住移動者委員会委員長
       松浦 悟郎(大阪教区補佐司教)








前画面に戻る
お問合せ : jcarm@cbcj.catholic.jp
Copyright 2005 J-CARM