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世界難民移住移動者の日


2006年度(第92回)教皇メッセージ


移住:時のしるし


親愛なる兄弟姉妹の皆さん

 40年前に第二バチカン公会議は閉会されました。その豊かな教えは、教会生活の様々な分野に及んでいます。とくに司牧憲章である『現代世界憲章』では、現代社会の複雑な様相を注意深く分析されました。それは、現代に生きる人々にどのように適切に福音をのべ伝えることができるかを摸索して行われたものです。この目的のために公会議の教父たちは、福者ヨハネ二十三世が求めたことにこたえて、時のしるしを探求して、福音の光のもとで読み解き、新しい世代に、この世のいのちと来るべきいのちについて、また適切な社会的関係について(『現代世界憲章』 4参照)、永遠の問いに十分答えることができることを示しました。現代の時のしるしの特筆すべきものの一つが移住であることは、疑う余地がありません。それは、つい最近、幕を引いたばかりの前世紀に、構造的で特徴的な現象となったということができます。つまり、移住は、巨大なグローバル化がもたらしたさまざまな結果の一つである世界規模の労働市場において重要な要素となったのです。当然、この「時のしるし」にはさまざまな要素が重なっています。国内移住と国際移住、強制的移住と自己の意志による移住、合法的移住と、非合法的移住、また、人身取引の問題もあります。毎年、国際的に数が増加している留学生のことも忘れることはできません。
 
経済的な理由で移住する人々については、近年の現象として、女性の数が増加しているといわれています(「女性化」)。過去における移住者は、おもに男性でした。もちろんつねに女性もいましたが、彼女たちは夫や父の行くところについていったのです。今日でも多くの場合はそのような状況ですが、それでも女性の移住がより自主的なものになって来ています。女性は他国に仕事を求めて、一人で国を出ていきます。実際に、女性の移住者が家族の基本的な収入源になるということもあります。女性はとくに低賃金の場に多くいます。移住労働者が弱い立場にあるというなら、女性の場合はなおさらです。女性の雇用機会は家事、高齢者介護、病人の介護やホテルの仕事です。これらもまた、彼女たちに同等の権利を認め、女性であることを尊重し、女性移住者のために正当な待遇を保障するべく努めるようキリスト者が招かれている分野でもあります。

 これに関して、人身取引、とくに女性の人身取引についてのべる必要があります。それは、生活水準の向上や生き残りのための機会が限られているような場所で、さかんに行われています。待ち受けているものが何であるかについて考えも及ばない被害者に「サービス」を提供することは、人身取引者にとって簡単なことです。あるケースでは、女性や少女らは性産業のみならず、労働上ほとんど奴隷と同じような搾取にさらされています。
 
 今ここでは、移住のもつこの側面からもたらされる結果について詳しく分析することはできません。教皇ヨハネ・パウロ二世が人身取引に反対し「性産業の組織的搾取を後押しする広範囲な快楽主義的、商業的文化」(教皇ヨハネ・パウロ二世『女性への手紙(1995年6月29日)』5)を非難したように、わたし自身もそれを非難します。この手紙はキリスト者が避けることのできない贖罪と解放の、全体的な計画を示したものです。

 移住の中でも別の分野に属する庇護を求めている人と難民に関して、わたしは、彼らが自国を去らなければならない理由を無視して、その到着を止めようとする傾向があることに対しても、強くいわなければなりません。教会は、苦悩と暴力の世界全体を、牧者のいないさまよえる羊の群れをあわれまれた(マタイ9・36参照)イエスの目を通して見るのです。希望、勇気、愛そして「愛の夢」(『新千年期の初めに』参照 )が、苦悩する兄弟姉妹に手を差し伸べる、人間的なキリスト者としての努力の必要性を呼び起こします。送り出し国の教会は、受け入れ国の教会との愛に満ちた対話を通して、自国の言語、文化に基づいた司牧者の派遣を考慮することによって彼らへの配慮を表すでしょう。

 現代の「時のしるし」に照らして、外国人の学生には特別な配慮がなされるべきです。とくにヨーロッパにおいて、大学間の国際交換プログラムの学生数は増加しています。教会は彼らへの司牧的配慮をないがしろにしてはなりません。これはとくに発展途上の国々から来ている学生に対してそうです。大学での経験は、この上ない霊的豊かさを得る機会となります。

 世界の正義と平和の促進に寄与しようとの望みに動かされて、人々の移動に関する司牧的配慮に力を注いでいる人々に、神の助けがあるようにと祈りつつ、皆さんの上に心から特別な使徒的祝福を送ります。

バチカン 2005年10月18日
教皇 ベネディクト16世


翻訳:日本カトリック難民移住移動者委員会

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