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包括的で公正な難民保護制度の確立を

―保護を必要としているのはウクライナ避難民だけではありません―

毎日ウクライナの惨状が報道される中、みなさんも一日も早い平和を願っておられることでしょう。そのような中、日本政府は戦火を逃れたウクライナの避難民の方々を受け入れることを決定し、就労可能な特定活動一年の在留資格を与えることが表明されました。さらに各自治体や民間レベルでも避難民の方々に対する定住支援の輪が広がっています。それは大変喜ばしいことであり、ウクライナ避難民の方々が今後も日本国内で安心して暮らせるような環境が継続して提供されるよう期待したいと思います。

しかし、支援が必要であるのはウクライナ避難民だけではありません。多くの国々からいのちの危険を感じて保護を求めてくる人がいます。ところが、日本の難民認定制度はたいへん厳しく、認定率は長年1パーセント未満で、国際基準からかけ離れた「難民鎖国」の状況が続いてきました。そのため、難民認定を求めながら不安定な立場のまま日本に滞在し、収容や送還のおそれのうちに暮らしている方々も多くおられます。今回のウクライナ避難民への対応と比べて、格差はあまりにも大きい現状があります。

教皇フランシスコは常に世界の難民の方々の置かれている状況に心を痛めておられます。2019年の来日の折には「青年との集い」において「日本へ逃れてきた人たちをより受け入れることをお願いしたい」と訴えられました。

今こそ、日本の難民認定制度を改善し、日本に逃れてきた人々を受け入れる体制を作るときです。ウクライナ避難民の受け入れを機に、助けを必要としている人々すべてを受け入れることのできる包括的で公正な難民保護制度の確立を強く望み、求めていきましょう。

                                  2022年5月

日本カトリック難民移住移動者委員会

委員長 山野内 倫昭