カトリック新聞で2020年3月より掲載中の「人間の大地で、今」では、法務省出入国管理庁(入管)の施設に長期収容されたり、危険のある母国に強制送還されたりしている「非正規滞在の外国人」の人権侵害を考える記事を読むことができます。日本ではほとんど知られていない「人間の尊厳」が脅かされる問題をより多くの人々にお伝えするため、日本カトリック難民移住移動者委員会の公式サイトにこの記事のバックナンバーを掲載しています。
2023年4月18日から「入管法改定案」 (政府案)が衆議院法務委員会で実質的な審議に入り、現在は、参議院法務委員会での審議に移りました。 難民認定率が1%に満たない「難民鎖国」と呼ばれる日本で、難民認定申請を3回以上行っている外国人を、申請中であっても送還できるなど、国際法違反の内容が多く盛り込まれており、弁護士や人権団体からも反対の声が上がっています。 表向きは「長期収容・送還問題の解決をめざす」としながらも、法案の中身は、入管行政による人権侵害を看過し、助長する内容です。
2021年も同様の「入管法改定案」が国会に提出されましたが、審議中の同年3月6日、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが名古屋出入国在留監理局(名古屋入管)の収容施設で適切な医療を受けられず死亡したことをきっかけに、この法案は廃案に追い込まれました。
あれから2年、ウィシュマさんの最期の2週間を映した名古屋入管の監視カメラ映像(以下「ビデオ」)が国民に公開されないまま、前回の骨格を維持した「入管法改定案」の国会審議が続いています。
この「ビデオ」は295時間分を、入管側が5時間に編集したものを、ウィシュマさん遺族代理人弁護団から「ビデオ」素材を得て、5分に短縮したものです。
この「ビデオ」を「入管法改定案」について考える一助にしていただければと思います。 「ビデオ」について詳細を取り上げたカトリック新聞連載「人間の大地で、今」第83回、第84回は以下よりお読みいただけます。